知事許可と大臣許可、建設業許可における営業所の要件


町田で電気工事の会社をやってるんですけど、そろそろ建設業の許可が取りたいんですよね。
独立して7年経ってますし、第一種電気工事士も持ってるんで、大丈夫だと思うんですけど。


なるほど。
それなら申請できそうですね。


ええ。
でも、ちょっと心配なことがあるんで相談に乗ってもらえますか?


もちろんです。

知事許可と大臣許可の違い

知事許可で営業する場合の制限


少し先の話なんですけど、神奈川で大きい仕事が入りそうなんですよ。
そういうときって、建設業許可の中でも大臣の許可っていうのを取らないといけないんですかね?


神奈川は現場があるだけで、会社は町田のままなんですよね?


ええ、そうですけど。


だったら大臣許可は必要ないですよ。
都知事の許可で大丈夫です。


え?
500万円以上の工事でも大丈夫なんですか?


ええ。
会社が東京都内にしかないんだったら、知事の許可だけで問題ないです。
全国どこでも、500万円以上の工事を請け負うことができますよ。


そうなんですか。
例えば、北海道の現場とかでもいいんですか?


もちろんです。
東京都知事許可だからといって、とくに現場の地域に制限はないんですよね。


へえ。


これは神奈川県知事でも埼玉県知事でも同じで、どこかの都道府県で知事の許可を受けていれば、全国どこでも、500万円以上の工事を請け負えるようになるんですよ
大事なことなんで2回言いましたけど。


そうだったんですね。
じゃあ、何十億円とかの工事になったら、大臣の許可がいるんですかね?


いやいや、請負の金額も無制限なんですよ
まあ、そこまで大規模な工事を実際に請け負えるかどうか、っていう問題はありますけど。


たしかに。
じゃあ、大臣の許可って、どういう場合に必要なんですか?

大臣許可が必要な場合


これは結構単純で、2つ以上の都道府県に建設業の営業所がある場合は、大臣許可が必要になるんですね
例えば、「東京では500万円以上の工事を請けるけど神奈川は500万円未満の工事しか請けない」っていう場合でも、両方に営業所があれば大臣の許可が必要です。

 




ってことは、逆に都内だけだったら、営業所がいくつあってもいいんですかね?


ええ。
例えば町田市に本店があって八王子市と立川市に支店がある場合ですとか、そういうのは都知事の許可になりますね。


あ、そういえば、近いうちに置き場を借りるかもしれないんですけど、そこが住所でいうと相模原市なんですよね。車で5分くらいの場所なんですけど。


ああ、相原と橋本とか、県境ですもんね。


そうなんですよ。
会社は町田の相原なんですけど、その置き場は相模原市緑区になっちゃうんですよね。


まあ、置き場だけなら大丈夫ですよ。
会社は町田のままなんですかね?


はい。
でも、会社は自宅で家族も住んでるんで、置き場を借りたらそこにプレハブでも建てようかと思ってたんですよ。


そうすると、どっちが営業所になるかっていう問題が出てきそうですね。
場合によっては、神奈川県知事の許可になるかもしれませんよ。


会社の登記が町田のままなら、いいんじゃないんですか?


そうとも限らないんですよ。
建設業許可の基準だと、「建設工事の請負契約を結ぶ事務所」っていうのが営業所になるんですね。


どういうことです?


例えばですね、東京の自宅を登記上の本店所在地にしているけど、実際の営業は神奈川の事務所で、っていう場合なんかは、神奈川県知事の許可になっちゃうんですよ。


へえ。
どっちで営業してるかって、どうやって判断するんですかね?


平たくいうと、「どっちにお客さんが来るか」って感じですかね。


なるほど。
それだとプレハブのほうですかね。
ちなみに、神奈川の許可と東京の許可だとなんか違うんですかね?


そうですね……。
どっちでも請け負える金額や扱える現場の地域は変わらないんですけど、例えば東京都とか町田市が発注する公共工事に入札するときなんかは、県外だと不利になっちゃうかもしれませんね。


まあ、今のところ公共工事は考えてないんで、そこは問題ないかな……。
でも、地元の会社としてやっていきたいんで、できれば東京で許可を取りたいですね。


そういう考え方もありますよね。


じゃあ、町田市で置き場と事務所を探すとして、注意することってありますかね?


そうですね。
いくつかあるので、そのへんも説明しておきますね。
 

建設業許可に必要な営業所の要件

本店(主たる営業所)の要件


まずですね、「お客さんを呼べるか」っていうのがポイントになってきます


じゃあ、ある程度は広くないとダメですよね?


まあ、机も置けないような場所だと厳しいですかね。
最低でも、事務所に来た人と一対一で話し合えるくらいのスペースは欲しいんじゃないかと。


じゃあ、小さいプレハブとかでも大丈夫ですかね。


ええ。
プレハブに電気と電話引いて、そこに机と応接セット置いて営業している人なんかもいますよ。
あと、アパートの一室とかでも、大家さんが了解していればたいてい大丈夫です。


ってことは、賃貸でもいいんですか?


ええ。そこは問題ないです。
申請するときに提出する資料は、自己所有と賃貸で変わってきますけど。


ああ、そう言われると、マンションの1階にあるテナントとかで営業してる会社を見かけますもんね。


あれもたいていは賃貸でしょうね。


逆に、自分の家とかじゃダメなんですかね?


それは場合によりますかね。
「独立性」っていうのがポイントになってまして、営業所と住まいが区切られていないといけないんですよ。


入口が別々になってるとか?


そうなっているのが理想ですけど、例えば玄関は一つでも、入ったらすぐ横にある部屋を専用の事務所にするとかだったら、認められる可能性があるでしょうね。
逆に、リビングの端っこに机とテーブル置いてあるけど、同じ部屋で奥さんがソファに寝そべってテレビ見てる……とかだと、厳しいと思います。


ああ、それだとちょっと厳しいかな。
かみさんの話はともかく、子ども部屋をつぶすわけにもいかないし……。


そうすると、さっきの話みたいにプレハブ建てるか、またはどこかに事務所を借りるのが現実的でしょうね。


そうなりますかね。
そういえば、最近はコワーキングスペースっていうのを聞きますけど、ああいうのはダメなんですか?
登記もできるって話ですけど。


うーん。
さっき話した「独立性」の問題があるので、ちょっと厳しそうですね。
他の会社と同じ物件に入る場合は、間仕切りとかで分けるように言われてます。


だったらアパートとか探したほうが早いか……。


でしょうね。
置き場の場所とかも含めて、慎重に選んだほうがいいと思いますよ。


ですね。
そういえば、看板とかは必要ないんですか?


看板の大きさとかはとくに指定がないんですけど、外から見て建設会社だってわかるようにしておく必要はありますね。
入口にちょっとした表札みたいなの付けるとか。


なるほど。


あと、会社宛の郵便が届くかどうかっていうのもポイントになるので、郵便受の表示なんかも気をつけたほうがいいでしょうね


わかりました。


他には、建設業の経営を5年以上経験している人と専属の技術者が営業所に必要なんですけど、これは最初におっしゃっていたように、社長が条件を満たしているみたいなので大丈夫だと思います。

支店(従たる営業所)の要件


さっきの大臣の話に戻りますけど、神奈川にも営業所を出したら大臣の許可になるんですよね?
去年から自分の弟が手伝ってくれてるんですけど、いずれこいつを神奈川の支店長みたいなのにすれば、大臣の許可を取れるようになるんですかね?


そうですね。
東京都の許可だけだと神奈川には営業所を出せないので、むしろ大臣の許可に変更する必要が出てきますね。「許可換え新規」っていうんですけど。


支店を出すとしたら、やっぱり事務所は同じような条件になるんですかね?


ええ。
物件としては、まったく同じ条件ですね。
独立性と接客スペースがポイントになります。


で、やっぱり独立して5年以上の人が必要なんですか?


それがですね、支店の場合はその条件がないんですよ。


ってことは、うちの弟でも支店長になれるんですか?


ええ。
「令3条の使用人」て言われるんですけど、自分の名前と権限で契約を結べる人がいればいいんですよ


へえ。


まあ、肩書きにはとくに決まりがないんで「支店長」でも「営業所長」でもいいんですけど、例えば「神奈川営業所 所長 建設太郎」みたいな感じで、契約書を作れるかどうかって話ですね。
本当はもっと細かい見方があるんですけど、ざっくりこんなイメージです。


なるほど。
その所長になるためには、なんか条件あるんですか?
例えば役員になってないとダメとか。


いやいや、そういうのはとくにないですね。
認知症とかで成年後見っていう制度を利用している人なんかはダメですけど。


ああ、それはまだまだ大丈夫でしょ。


あと、常勤なので、家から営業所までが極端に遠い人なんかも危ないですね。
それと、他の営業所との掛け持ちもできないです


家は問題ないですね。もう橋本に自宅持ってるんで。


なるほど。


掛け持ちの件も大丈夫だと思うんで、弟がもうちょっとしっかりしたら、大臣の許可を目指すのもありかもしれませんね。


あ、経営経験は問題ないですけど、技術者は支店ごとに必要なんですよ


あ、そうか。
でも、弟も第一種電気工事士持ってるんで大丈夫でしょ。


ああ、でしたら問題ないですね。
 

まとめ


本店と支店の条件をまとめるとこんな感じですかね。

 



技術者とそれなりの物件はどちらも必要ってことですね。


ええ。
物件としては、お客さんが来て契約を結ぶ場所があるかどうか、っていうのがポイントです。


わかりました。


あと、都内だけだったら営業所がいくつあっても都知事の許可ですけど、東京都と神奈川県とかになると大臣の許可になるっていうのも覚えておいてください。


はい。


あと、知事でも大臣でも、全国どこの現場でもいくらの工事でも請け負えることも。


了解です。


そういえば、電気工事業者の登録ってしてますよね?


もちろんですよ。
ちゃんと更新もしてますって。


あれ、建設業許可を受けると「みなし登録電気工事業者」っていうのになるんですけど、やっぱり営業所の都道府県が分かれるかどうかで、知事と大臣があるんですよ


そういえば、うちのプレートは「東京都知事登録」って書いてある気がします。


ですよね。
そこに神奈川の営業所も追加するとなると、大臣登録になるんです。
ちなみに、建設業の許可は国土交通大臣なんですけど、電気工事業者の登録は経済産業大臣なんですよ。


うーん、なんか面倒そうですね。


まあ、建設業許可を受けると電気工事業のほうは書類がかなり少なくなるんですけど、もちろん、そのへんも含めてお手伝いしますよ。


ええ。
よろしくお願いしますね。
 

補足

大臣許可業者の割合


大臣の許可って、結構ある話なんですか?


いやいや、滅多にないですよ。
そもそも営業所が複数あるケースが少ないですからね。


ですよね。


まあ、さっきの社長さんみたいに、兄弟が支店の責任者になるとかだったら、小規模の業者さんでもあり得る話かもしれませんね。


なるほど。
なんとなく、弟が別会社で独立するケースのほうが多い気もしますけどね。


たしかに。
ちなみに、平成29年度の資料だと全国の許可業者が約46万者で、そのうち大臣許可が1万者になってますね


じゃあ、2%強ってところですね。


ええ。
 

営業所の確認資料


そういえば、自宅を営業所にするときの注意点とか話していましたけど、やっぱり申請のときに確認されるんですか?


もちろん。
ちゃんと写真撮って申請書に添付するんですよ。
撮影の仕方にもちょっとしたコツがあるので、慣れてないと再提出食らったりしてますね


へえ。


あと、使用権限も証明する必要がありますね。
自己所有だったら登記事項証明書でわかりますけど、賃貸の場合は契約書とかが必要になります
社長が自分の家で会社の登記をしているときなんかは契約書がないこともあるんで、契約書の作成から行政書士がお手伝いすることになりますね。


なるほど。
 

支店の取扱業務と建設業許可


そういえば、兄が東京で建設工事をやっていて、弟が神奈川でビルクリーニングをやっている会社があるんですけど、そういう場合も大臣許可になるんですか?


いやいや、支店があってもそこで建設工事の請負をやらないんでしたら、従たる営業所にはならないです。
というか、たとえ支店で建設工事を請け負っていたとしても、支店は施工部門だけで契約は本店が一括で担当している場合なんかは、やっぱり従たる営業所にはならないでしょうね。


へえ。


あと、ちょっと話はずれますけど、本店と支店で請け負える建設工事が異なる場合なんかもありますね。


とういと?


経営業務の管理責任者は本店のみなので、その人に6年以上の経営経験があれば全営業所で29業種全部の許可を受けられる可能性が出てくるんですけど、専任技術者の有無は営業所ごとに判断されるんです


例えば?


例えば、本店の専任技術者が第一種電気工事士と二級管工事施工管理技士を持っていて、電気工事と管工事で許可を受けている会社があったとしますよね。


エアコンの設置とか得意そうですね。


ええ。で、支店を出そうってなったときに、専技になる人が第一種電気工事士だけしか持っていなかったら、電気工事の許可は受けられても管工事の許可は受けられないんですよ。


なるほど。


しかも、本店が管工事の許可を受けているので、支店では500万円未満でも管工事は請けられないんですね


へえ、それは厳しいですね。


そうなんですよ。
配置技術者の問題もありますし、やはり会社の規模が拡大していくときは気をつかいますよね


そうでしょうね。
建設業の場合、むやみに受注を増やそうとすると、許認可でつまずくことありますもんね。


ええ。
そこはやっぱり、行政書士に相談してほしいところですね。
 

関連記事

  1. 経営業務管理責任者の要件と経営経験を証明する方法

  2. 専任技術者の要件とその役割、専技が退職するときの注意点

  3. 建設業許可を受けるために必要な要件と無許可営業のデメリット

  4. 建設工事の種類と建設業許可、複数業種で許可を受けるには

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。