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在留資格の概要と外国人労働者が建設業で働ける就労ビザ

<2019.08.13 「『外国に特有の建築又は土木』の出所(5.3.)を追加しました>
 

知り合いの社長と「人がいない」って話をしていたら、「外国人を探してみたら?」って言われたんですよ。
でも、そんなに簡単に雇えるもんなんですかね?


うーん、簡単とは言えませんけど、いくつか方法はありますよ。


そうなんですか。
じゃあ、そのへんのこと、いろいろ教えてもらえます?


もちろんです。

外国人が日本に入国・滞在するのに必要な在留資格

在留資格の概要



まずですね、外国人が日本で働くためには……というより、日本で生活するためには「在留資格」というのが必要なんですね。
一般的には「ビザ」と呼ばれるやつです。


ああ、聞いたことありますね。


正確にはビザと在留資格は違うんですけど、とにかく資格が何種類かあって、資格によって決められた範囲内でしか日本にいられない仕組みなんです。


へえ、なんか厳しそうですね。
どんな資格があるんですか?


大きく分けると、「身分系」と「就労系」の2つになりますね。

身分系(居住系)の在留資格


まず、身分系の在留資格なんですけど、これは「日本とこういう『つながり』があるので、日本にいてもいいですよ」といった感じのものですね。


というと?


代表的なのは「日本人の配偶者等」というやつで、ようするに日本人と結婚した人や日本人の子なんだけど外国籍の人ですね。


なるほど。


あと、日本で長年生活していて一定の要件を満たした人は、「永住者」という在留資格で日本にいられる可能性があります。


ああ、KONISHIKIとか?


いやあ、あの人は日本に帰化してるんで、もう外国人じゃないんですよ。
日本人なので、在留資格は必要ないんですね。


ん?


永住者というのは、「あくまでも外国籍の人だけど日本にずっといられる人」のことなんです。


そういうことすか。


ちなみに、猫ひろしさんはカンボジア国籍になったので、日本に来るときは在留資格が必要になるんです。


ほうほう。


他には、日系人の人とかが「定住者」という資格を持っていることがあります。
あと「永住者の配偶者等」を含めて、身分系は全部で4種類ですね。


へえ。

就労系(活動系)の在留資格


身分系でない人たちは、就労系になりますね。
25種類あるんですけど、「日本でこういう『活動』をする必要があるので、日本にいてもいいですよ」という考え方ですかね。


仕事のために日本に来る人たちってことですか?


もちろん働く人が多いんですけど、そうでない人もいますね。
例えば、「留学」は日本の学校に通うための資格ですし。


言われてみれば。


まあ、留学生のほとんどはアルバイトしていると思いますけど。


へえ。


あと、観光目的で来る人なんかは、「短期滞在」という在留資格を取っています。


ちょっと日本に来るだけでも資格が必要なんですね。


ええ。
基本的には、在留資格がないと日本に入国できないんです。


ほうほう。


で、いわゆる「就労ビザ」というやつだと、通訳の人とかが持っている「技術・人文知識・国際業務」や、コックさんなんかが持っている「技能」というのが多いですかね。


ふんふん。


他には、医者なら「医療」、弁護士なら「法律・会計業務」、介護福祉士なら「介護」みたいな感じで、業種限定の資格なんかもあります。


へえ。


ちなみに、大学の先生は「教授」だけど小中高の先生は「教育」という資格になるんです。


細かいすねえ。


そうなんですよ。
ただ、就労ビザに共通しているのは、「その外国人を日本に呼んで働いてもらう必要があるか」という考え方ですかね。


というと?


例えば、学校の先生の場合、英語教師とかだったらわかりますけど、日本史の先生だったらわざわざ外国人を呼ぶ必要ないですよね?


たしかに。


コックさんも同じで、フランス料理や中華料理なら可能性あるんですけど、和食の場合は、どんなに腕が良くても技能のビザは出ないんですよ。


そういうことか。


そんなわけで、建設業の場合も、現場の作業員として外国人を呼ぶのは難しいんですね。


え?
じゃあ、結局は雇うことできないんですか?


いやいや、もちろんそんなことはなくて、ここからがさっき話した「いくつかの方法」になるわけです。
言ってしまうと、ここまでは「前置き」ですね。


前置き長いすよ!


すみません。
大人の事情です。

建設業界での就労が可能な在留資格





じゃあ、どうやったら外国人を雇うことができるんですか?


いくつかのパターンがあるので、順番に説明しますね。


お願いします。

知識や技術を生かして報酬を得られる在留資格


まずはですね、ある程度の知識や技術を持っている人を建設会社に呼ぶパターンですね。


例えば?


例えばですね、設計ができる人なら、「技術・人文知識・国際業務」の資格で呼べる可能性があります。
あと、外国に特有の建築に精通していて、施工管理ができる人なんかは、「技能」で呼べるかもしれませんね。


そんな人、うちにいらないんですけど。


ですよね……
じつをいうと、「現場で働ける外国人」の説明はこの後からになります。
そう考えると、ここもまだ「前置き」だったかもしれません。


頼みますよ、ホントに。


すみません。
一応、説明しておきたかったもので……。

業種の制限なく就労が可能な在留資格


じゃあ、本題に入りますけど、まずは「働ける仕事が限定されていない外国人」を雇う方法がありますね。


え? そんな人いるんですか?
また「実際はほとんどいませんけど」みたいな話なんじゃ……


いやいや、これはそんなにめずらしくないんですよ。
さっきお話しした、身分系の在留資格ってありましたよね。
あれは「活動」じゃなくて「身分や地位」が基準になっているので、仕事には制限がないんです。


へえ。


なので、日本人と結婚して日本人の配偶者等になっている人ですとか、日系人で定住者になっている人なんかは、現場で働いてもらうことができるんです。


なるほど。


あと、留学生をアルバイトとして雇うこともできますよ。


でも、学校行ってるでしょ。


ええ。
ですので、「原則週28時間以内」って条件があります。
夏休みとかなら、フルタイムでもいけますけど。


うーん、ちょっとやりにくいかな……。


ですかね。


他に方法はないんですか?


あります、あります。
じつをいうと、ここからが本番です。


ちょっと……


すみません。
出し惜しみというわけじゃないんですが。

建設現場の作業員として就労できる在留資格





いよいよここからが本当の本題なんですが、「建設現場で働ける在留資格」というのがあるんですね。


「建設」って資格とか?


いえいえ、じつは建設業に限らないんですが、現場作業に特化した在留資格がいくつかあるんです。


例えば?

技能実習


まずは「技能実習」ですね。
「実習」という名称ですが、ちゃんと仕事をしてもらいます。


ほうほう。


ただ、あくまでも実習なので、きちんと技能を身につけてもらわないといけないんですね。


まあ、普通に働いていれば仕事覚えるでしょ。


ええ、そうなんですけど、きちんと計画を立てて、一定の期間内に技能検定に受からなくちゃいけないとか、いろいろ条件があるんですよ。
検定に応じた作業をメインでやってもらわないといけないですし。


うーん、めんどくさそうですね。


たしかに手間はかかりますけど、活用されている会社さんも多いですよ。


へえ。

特定技能


次に、2019年の4月から受入が始まった「特定技能」という資格ですね。


ほうほう。


こちらは受け入れる段階で一定の技能と日本語能力が必要なんですけど、技能実習で3年とか経験があればクリアできるんで、実質的には技能実習の延長みたいなイメージですね。


へえ。
やっぱり仕事を細かく教えないといけないんですか?


技能実習ほどではないんですけど、やはり日々働いてもらうだけでは足りなくて、事前にある程度の計画を立てないといけないんですね。


なるほど。


ちなみに、特定技能について詳しく知りたい場合は、この本なんかお薦めですよ。
(さりげなく自書の宣伝)





ふーん。

外国人建設就労者受入事業


あと、「外国人建設就労者受入事業」という制度があります。
在留資格でいうと「特定活動」になるんですけど。


どんな制度なんです?


こちらは2015年の4月から始まったんですけど、技能実習を卒業した人が日本で働き続けるための制度みたいな感じですね。
ただ、震災復興と東京オリンピック対策が主な目的なので、2023年3月までの限定なんです。


へえ。
じゃあ、あんまり関係ないかもしれませんね。


正直、今からだと間に合わないですね。


そうですか。


なので、技能実習から始めてじっくり育てていくか、特定技能で即戦力を呼ぶか、というのが現実的な選択肢ですかね。


わかりました。
ちょっと検討してみますわ。


場合によっては、日本人と結婚している人とかが来てくれるかもしれませんが。


たしかに。
そう考えると、うちにも外国の人が来てくれる可能性ありますね。


ええ。
ですので、外国人労働者を雇う場合の注意点もお伝えしておきますね。


おお、それは聞いておきたいですね。

外国人雇用における注意点


もちろん、言葉の違いとか文化の違いとか、そういうのもかなり大きいんですけど、そのへんはちょっと置いておいて、制度的なお話をさせてもらいますね。


ええ。

日本人と同等以上の待遇


まずですね、「外国人だから安く雇える」って考え方はダメですね。


ほうほう。


そもそも、国籍の違いで給料に差を付けるのは、法律違反なんです。


ああ、差別になっちゃいますもんね。


ええ。


社会保険とかはどうなんですか?


それも日本人と同じでないといけないんですよ。
外国人の場合、老後に日本の年金をもらえる可能性は低いんですけど、ちゃんと厚生年金にも入らないといけないんですね。


へえ、厳しいですね。


基本的には、「外国人だから」という理由で省略できるものはないと思ってください。
休憩や休日はもちろん、有給休暇もしっかり取ってもらわないといけないわけです。


ああ、そのへんは当然な気もしますね。


ちなみに、技能実習や特定技能の場合は、母国語で相談を受けてくれたりする団体にお金を払う必要があるので、むしろ日本人より人件費はかかっちゃいますね。


へえ、そうなんですね。

在留カードの確認


あと、適正な在留資格を持っていない人を雇うと違法になってしまうので、そこも気をつけてください。


というと?


本来は働いちゃいけない人を雇ってしまうと、働いた外国人は不法就労になりますし、雇った側は不法就労助長罪というやつになってしまうんです。


怖いですね。


日本に住んでいる外国人は「在留カード」という運転免許証みたいなものを持っているので、それを見れば働けるかどうかだいたいわかりますよ。


へえ。


現場で働ける資格なのか、在留期限が切れていないか、そのへんは絶対に確認するべきでしょうね。


なるほど。


ちなみに、留学生の場合は「就労不可」って印刷されているんですけど、裏面に「資格外活動許可欄」というのがあるので、そこに「許可」とあればOKです。


ほうほう。


他にも注意点はいろいろあるんですけど、ひとまずこんなところですかね。


了解です。


まとめ


まとめるとこんな感じでしょうか。


建設分野における外国人雇用のまとめ

  • 外国人は在留資格の範囲内でしか日本で働けない
  • 「日本人の配偶者等」であれば建設現場でも働ける
  • 「技能実習」や「特定技能」での受入が現実的
  • 外国人労働者は日本人と同等以上の待遇としなければならない
  • 雇入れ時等に適正な在留資格の有無を在留カードで確認する



だいたいわかりました。
やっぱり技能実習か特定技能がいいんですかね?


まあ、技能実習を活用されている方は多いですね。
特定技能はまだまだこれからなんですけど、結構な人数が入ってくる予定になっています。


そうなんですね。
次はそのへんの話を詳しく教えてください、前置きなしで。


心得ました。
またよろしくお願いいたします。


補足

建設業における外国人労働者の人数


実際のところ、建設業界で働いている外国人は、どれくらいいるのですか?


国交省がデータ出していて、「建設分野に携わる外国人数」なので現場だけじゃないかもしれないんですけど、2018年末の時点で68,604人ですね。


*出所:「建設分野における外国人材の受入れ」国土交通省資料 2019年1月


7万人弱ですか。


そのうち4万6千人くらいが技能実習生みたいです。


へえ。
これからも増えていくのでしょうか?


特定技能も始まりますし、しばらくは増えるんじゃないですかね。


技能の在留資格に該当する外国建築とは


そういえば、技能の話に出てきた「外国建築」ってどんなものなんですか?


よく「ゴシック、ロマネスク、バロック方式」とか言われますね。
正直、違いはよくわからないんですけど、西洋の教会や寺院みたいなイメージでしょうか。
石積んで、屋根は丸かったりとんがってたり……みたいな。


ああ、なるほど。


あと、だいたい「中国式、韓国式」って続くんですけど、これの基データが見つからないんですよね。


というと?


ネットで検索すると同じように書いている人が多いので、入管がガイドラインみたいなの出しているのかと思ったのですが、そういうのが出てこないんですよ。


へえ。


もしかすると、行政書士会が出している資料に書いてあるのかもしれませんね。
申請取次の研修とかで配っているのかも……。


わからないんですか?


ええ。
なにしろわたくし、申請取次の研修を受けたことがないので……


あ、そうか……

「外国に特有の建築又は土木」の出所

<2019.08.13 追記>

例の「ゴシック、ロマネスク、バロック……」という解説の根拠が見つかりましたよ。


ほうほう。


入管業務を扱う行政書士の間でバイブルみたいになっている「山脇本」ていうのがあるんですけど、それに載っていましたね。

建築技能者(2号)

外国に特有の建築又は土木に係る技能とは、例えば、ゴシック、ロマネスク、バロック方式又は中国式、韓国式等の建築、土木に関する技能で、日本にはない建築、土木に関する技能をいい、枠組壁工法や輸入石材による直接貼り付け工法等も含まれます(審査要領)。



ちなみに、「外国に特有の建築又は土木に係る技能」という表現は、「上陸基準省令(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令)」に出てきます。


へえ。
ところで、引用部の最後に書いてある「審査要領」って何なんですか?


入管の「入国・在留審査要領」という内部文書のことでしょうね。もともとはそこに書いてあるみたいです。
開示請求すれば入手できるようですけど、今回はそこまでしませんでした。


まあ、入管業務やらないですもんね。


ええ、申請取次の資格も持ってないですし……


あ、そうか……

Posted in 外国人雇用

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